「介護なんてまだ先の話だよ。だってまだ両親は今も元気だもん。」

昨年、50歳を迎えた私が同級生数人と話していたときに同級生の口から出た言葉です。

第二次ベビーブームの中生まれた私たちの両親(第一次ベビーブーム)が75歳を迎えようとしています。

世の中ではこのことを2025年問題と呼ばれることが多いです。

2025年問題とは、75歳以上の後期高齢者人口が2,180万人、65~74歳の前期高齢者人口が1,497万人に達すると予測されています。国民の約3人に1人が65歳以上、約5人に1人が75歳以上となり、雇用や医療、福祉といったさまざまな分野へ多大な影響を及ぼすことが予想されています。

(総務省:2022年国立社会保障・人口問題研究所の推計)

2025年を迎える私たちができることは、「介護はまだ早い」ではなく、介護が必要となる前に準備として少しでも多くの情報を知識として知っておくことが大切です。

知らないと、様々なトラブルに巻き込まれることが予想されます。

家族介護のトラブルの原因は?

家族の間でのほんのちょっとのボタンの掛け違いが、大きなトラブルになり仲の良かった家族が親の介護により絶縁状態になる・・・。

介護の現場で働いていて、たまに目にする光景です。

家族の介護におけるトラブルは、多岐にわたることがあります。以下に一般的なトラブル例をいくつか挙げたいと思います。

1. 介護負担の不均衡

・一人に負担が集中する

兄弟姉妹が複数いる場合、特定の一人に介護の負担が集中することがあります。他の家族が介護に参加しない、または参加できない理由があると、不公平感やストレスが生じます。

・役割分担の不明確さ

 誰がどの役割を担うのかが曖昧であると、責任の押し付け合いや不満が生じることがあります。

2. 経済的な問題

・費用分担の不公平

介護にかかる費用を誰がどのように負担するかで争いが生じることがあります。一部の家族が多くの費用を負担する場合、不満が蓄積されることがあります。

・収入減少

介護のために仕事を辞めたり、働く時間を減らさなければならない場合、家計に影響が出て経済的なトラブルが発生することがあります。

3. 介護方針の違い

・ケアの方法

家族間で介護の方法や方針について意見が分かれることがあります。例えば、施設に預けるか自宅で介護するか、医療的な処置をどうするかなど。

・本人の意思

介護を受ける本人の意思と家族の意見が一致しない場合、トラブルの原因となります。

4. コミュニケーションの不足

・情報共有の欠如

介護に関する情報や状況が適切に共有されていないと、誤解や不信感が生まれやすくなります。

・感情の衝突

介護に関わるストレスや感情が高ぶり、些細なことでも感情的な衝突が起こることがあります。

5. サポートの不足

・専門的な支援不足

家族だけで介護を行うことが難しい場合、適切な専門家やサービスのサポートが得られないとトラブルが発生しやすくなります。

・休息不足

介護者が休む時間を取れないと、疲労やストレスが蓄積し、トラブルの原因となります。

6. 法的・行政的な問題

・法的責任

介護に関する法的な責任や手続きが不明確な場合、家族間での紛争が生じることがあります。

・行政サポートの活用不足

利用可能な行政サービスや支援を知らずに、適切なサポートを受けられない場合、家族全体の負担が増加します。

解決策

コミュニケーションの強化:

定期的に家族会議を開き、情報共有や意見交換を行う。どんなことでも自分の思っていることを話す事は大切です。日ごろから家族で話す癖をつけることが重要です。

介護の専門家の活用

ケアマネージャーや介護相談員などの専門家に相談し、適切なアドバイスや支援を受ける。最寄りの地域包括支援センターの場所や、市町村の相談先など調べておくといいでしょう!

役割分担の明確化

家族間で役割や負担を明確にし、公平に分担する。介護にはお金と時間がかかります。家族で上手に分担できるように話し合いましょう!

休息とサポートの確保

介護者が休む時間を確保し、外部の支援を積極的に活用する。市町村によって様々なサービスがあります。活用できる制度を上手に活用しましょう。

すぐに相談できる人を持つ

自分で調べることも大切ですが、何かあった時にすぐに相談できる人をみつ見つけましょう!一人で考えるのではなく、詳しい人にアドバイスをもらいましょう。

家族の介護は大変な労力と時間を要するため、上記のようなトラブルが発生することは珍しくありません。しかし、適切なコミュニケーションとサポートを通じて、これらのトラブルを最小限に抑えることが可能です。

人生の終盤で関わることになる介護を通して、家族間のトラブルが少しでも軽減できるようお手伝いさせてもらえたらと思います。